レモン
1.ドタキャン
私は携帯電話につけているストラップを何度も握り潰そうとした。


そんなことで、気がすまないことはわかってる。

でも、やっぱりそうしたくなるほど腹が立った。

それに、彼への一抹の不安を感じた。

駄目だ。
駄目だ。


私はお手洗いに行き、鏡で自分の顔を確認した。

《私は強いんだ。精神は脆くないはずなんだ》


右の目尻に水分のようなものがみえた。

だけどこれは、涙じゃないんだ。

だって私は強い女だから・・・・・・。


鏡で一度笑顔を作った。

私の彼は、哀しい顔が私に似合わないって言ったから、

せめて笑顔でいたいと願う。


《大丈夫。私は今、上手に笑えてる。》
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