それでも愛しい人よ〜慎物語〜
「――おい!!誰かいんのか!?」
ガラッ!!と勢い良く扉が開いた。
マズイ!!
見つかった!!
「美沙!!逃げるぞ!!」
「えっ……」
俺は美沙の手を引き、逃げようとした。
でも。
美沙はその場から離れようとはしなかった。
「いやっ…!!父さんと母さんが…っ!!」
――もう美沙のご両親は息をしていなかった。
脈拍もない。
「美沙、悲しいけど今は逃げるしかないんだよ。残りの人生もご両親の為に――」
「いやっ!!父さんと母さんは死んでないもの!!」
美沙は無理矢理俺の手を離し、死んでいるご両親に寄り添った。
「ダメだ美沙!!危ない!!」
「ええぃ!!うるせぇ!!死ね!!」
その時、目の前にいた殺し屋が持っていた弓矢を美沙に向けた。
「やめろーーーっ!!」
―――ドンッ!!