それでも愛しい人よ〜慎物語〜

――ドサッ…




「――美沙!!!!」




美沙は弓矢をまともに受けてしまい、その場に倒れた。




「……慎…様……」




「大丈夫か!?美沙!!今、医者を――」




「……いいの…もう、いいのよ……慎様…」




「美沙……」




「……私…慎様に、出会えて…幸せだった…慎様を、好きに…なれて…幸せ、だった…」




美沙は途切れ途切れに話す。




俺は自分の瞳から流れ出る涙を強く拭うと美沙の口から流れる血を拭いてやった。




「……美沙…俺もお前が好きだ…」




美沙は力なくニコリと微笑むと瞳から涙を溢した。




「もっと…もっと…慎様と…一緒に、いたかった…もっと……慎様の、笑顔……見ていたかっ……」




ツー…と美沙の頬を一筋の涙が伝った。




美沙は、ゆっくり目を閉じた。




「美沙……美沙…」




俺は涙声で何度も、何度も彼女の名前を呼んだ。




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