それでも愛しい人よ〜慎物語〜
――…
あれから2年が経った。
あの日から俺の人生は色を失ったもの同然だった。
美沙を救ってやることが出来なかった自分の不甲斐なさ…
それが俺自身を苦しめていた。
――そんなある時。
「なぁ聞いたかー?江戸城、今使用人や剣士をかき集めてるらしいぜ」
「あの江戸城がか〜?確かあそこは本当に優秀なヤツしか入れないんだろ〜?」
「あぁ、だから俺も入ろっかな〜って♪」
「アハハ!!お前の力じゃ無理だろ〜」
「お前に言われたかねーよ!!」
俺は偶然、使用人が噂話をしているのを聞いた。
江戸城……
かなり遠いが、あそこに行けば偉大なる力が手に入るかもしれない
美沙を救ってやれなかった不甲斐なさを
少しは解消出来るかもしれない。
俺自身の力を
試すことが出来るチャンスかもしれない――…