さよならを君に贈る
運動場には体育の先公、和氣(ワケ)が既にいた
「よしっ、さっそくだが50m走を始める。
全員、列を作ってレーンに並べ」
男子全員でレーンのスタートに向かい、和氣に言われたとおり列を作り、俺は前から二番目の列の一番左にいた
第一走者には多一がいる
「よーい!」
バン!!
和氣の号砲の合図で第一走者が一気に走り出す
第一走者でのトップは多一
走り終わった多一はスタートまで戻ってくる
「蓮~!
俺、7秒ジャスト!
速くねぇ!?」
「…速い速い」
「なんだよそれ~
感情こもってね~な!」
多一はわざとに口をとがらせる
「っつーか多一邪魔。
俺、今から走るんだけど…」
「あっ、わりー。
じゃあ頑張れ、俺の愛しのハニー♪」
「誰がハニーだよ、このボケ」
俺は多一の鳩尾に一発喰らわせて走る用意をする
「よーい!」
バン!!
その音が聞こえるか聞こえないか位スレスレで俺は走る
ゴールラインを突っ切ると、和氣はタイムを読み上げる
「潤井!6秒2!」
6秒2か……