さよならを君に贈る
ザワッ
「すげっ」
「なんだよ潤井~」
「ずりぃぞ~」
何がずるいんだよ…
「お疲れハニー♪」
「誰がハニーじゃぼけ」
俺は軽く多一の腹を蹴る
「お疲れ蓮。
やっぱり蓮は速いね」
「雷こそ速いんだろうが」
「いやだなぁ。
俺は蓮より0.2秒遅かったんだよ」
それでも6秒4
雷にはこういうところでいつも驚かされる
「あっ、蓮!
女子走ってるぞ!」
多一は何故か嬉しそうに女子の方に指を指す
「おっ、俚野さん走るぞ」
あいつか…一応見とくか
俺は女子の方を向いて、スタート位置にいる俚野光を見た
「よーい!」
バンッ!!
俚野光は号砲スレスレで走る
「うわっ!
俚野さん速!」
…確かに速い
他の女子の誰より綺麗に走っている
俺はその姿に少しだけ目を奪われる
「俚野!7秒2!」
ザワッ…!
「ウソだろっ!?」
「俚野はえー!!」
「蓮!どおしよっ!
俚野さん俺より速い!」
俺は多一を軽く無視する
俺は黙って俚野光を睨み付けていた