私をさらった強引彼氏。
それから
しばらく沈黙が続いて、
保健室を出ることにした。
「家まで送ろうか?」
「大丈夫だよっ、家近いし」
「でも...けがの事もあるし――――――」
「本当に大丈夫っ。」
ちょっと嬉しいな…。
男の人にこんなに優しくされたの
初めてだから。
「俺が代わってあげられればいいのに。」
指定のローファーを履きながら、
橘くんはふてくされた顔でそう言った。
「何言ってんの、ダメだよそんなの!」
「原因俺だし…」
「橘くんの綺麗な顔に傷つくより、
私みたいな平凡な顔に傷ついた方が全然いいでしょ?」
それに慣れてるし―――――――――
そう言おうとした瞬間だった。