私をさらった強引彼氏。



それから

しばらく沈黙が続いて、
保健室を出ることにした。



「家まで送ろうか?」


「大丈夫だよっ、家近いし」


「でも...けがの事もあるし――――――」


「本当に大丈夫っ。」



ちょっと嬉しいな…。


男の人にこんなに優しくされたの
初めてだから。



「俺が代わってあげられればいいのに。」



指定のローファーを履きながら、
橘くんはふてくされた顔でそう言った。


「何言ってんの、ダメだよそんなの!」


「原因俺だし…」


「橘くんの綺麗な顔に傷つくより、

私みたいな平凡な顔に傷ついた方が全然いいでしょ?」




それに慣れてるし―――――――――




そう言おうとした瞬間だった。





< 26 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop