私をさらった強引彼氏。
掌で顔を覆う。
それでも
涙はとどまることなく流れ落ちた。
「...うっ……。」
「辻本さん...」
橘くんの姿は
自分の掌のせいでよく見えないけど、
大きな手が私の頭に触れた。
「こわ...かった……。」
「ごめん...」
頭にあったその大きな手は、
私の首筋をなぞりながら
肩を包み込んだ。
「もう...こんな思いさせないから」
なんだろう、
このぬくもりがすごく愛しく感じた。
「俺が守るから」
トクン――――――――――
その瞬間に生まれた。
私の知らない感情。