おちこぼれサンタクロース
「っ…あはは」
「……え?」
「なんか、ルーシー見てたら緊張してるのバカらしくなっちゃった」
「……それって喜んでいいところ?」
「喜んでいいところ」
……なんか素直に喜べません。
複雑だ……。
でも笑ってくれたし、よかった。
「…本当はあたしね、ルーシーのこと好きじゃなかったんだ」
「……え」
何そのカミングアウト。
今言うことですか…。
横目で飛んでいくサンタ見習いたちを見ながらエルーが続ける。
その顔は、笑っていた。
「アミールの家系で素晴らしい家族を持っているのに、何で落ちこぼれなんだろうって思ってた。
あたしの家族は事務局員なのにって」
「…エルー」
「でもさ、人一倍努力してるの見ちゃったら何も言えなくて、応援したくなったんだ」
……あたし、エルーがそんなこと思ってくれてたなんて知らなかったよ。
サンタ養成学校とは別の、小さい子が入る学校のときから一緒で。
おじいちゃんたちがすごすぎて友だちが出来なかったあたしに、エルーは話しかけてくれたんだ。
「ルーシー、負けないからね!
じゃあ行ってきます!」
5頭のトナカイの手綱を引いて、エルーは子供たちのところに向かった。
広場に残ったのはあたしと先生だけ。