おちこぼれサンタクロース
やっと、あたしも子供たちに夢を届けられるんだ!
小さい頃から寝る前に聞かされていたお話。
シャンシャンと鳴り響くのは鈴の音。
空を翔るのは一生の相棒。
寝ている子供たちに夢を届ける。
それが、サンタ。
絶対絶対、あたしも一流のサンタになってみせる!
別れ道でエルーと別れてロベルトと一緒に家に帰る。
雪で屋根が真っ白になった、クリーム色の家があたしの家。
ロベルトをトナカイ小屋に連れていく。
「やあやあみんな、もうすぐ仕事だね!
一緒に頑張ろうね!」
優しげな目であたしを見てくるトナカイたち。
おじいちゃんもおばあちゃんも
お父さんもお母さんも
初めて空を飛ぶとき、怖くなかったのかな。
相棒を信頼しきってたから、大丈夫だったのかな。
あたしがロベルトに身を委せられるようになったら…
あたしも、空高く飛べるのかな。
「……考えても仕方ない、か」
だって怖いもんは怖いんだもん!
こうゆうときはおじいちゃんにコツを聞くのが1番!
トナカイたちに声を掛けてから家に入った。
玄関を通って暖炉がある居間に行く。
思った通り、おじいちゃんは暖炉の前の椅子に座っていた。