おちこぼれサンタクロース



「ルーシア、トナカイも同じだよ」

「え?」

「初めて空を飛ぶとき、怖いのは人間だけじゃない。
 トナカイだって初めて人を乗せるんだ。
 相棒の気持ちを考えて、行動する。
 大事なのはそれだけさ」

「……ロベルトの気持ち?」

「ああ、そうだよ」


ロベルトの気持ち…あんまり考えてなかった。

ただ信頼しきれなくてごめんって、それだけだった。

ロベルトも怖かったんだ…。


「特にロベルトはね、家族に見捨てられているから次も失敗したら嫌われると怯えているのかもしれない」

「そんなこと…しないよ!」

「わかってる、でもそれをロベルトに伝えたかい?」

「……」


ロベルトに伝える…。

あたしの不安な思いと、ロベルトが大好きだって言う気持ち。

お互い、自分のことで精一杯で

相手のことが見えてなかったんだね…。


「今からでも遅くないよ、伝えてきなさい」

「うん、ありがとうおじいちゃん!」


家を飛び出してトナカイ小屋に走った。

ロベルト、あたしはロベルトを見捨てたりしないよ…。

ロベルトは家族に見放されたところをあたしが見つけて連れてきた。

あたしに嫌われるのが怖かったんだね。



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