愛し-kanashi-


「心配してたんだから……」


そう行って遥香は俺を抱きしめてきた。その細い腕で何かを確かめるように、2人の何かを探すように。


「マスコミにバレたらどうするんだよ」

「平気よ。ウィッグで来たから」


遥香は自慢げに笑ってみせた。
俺は遥香の唇に優しくキスをして「馬鹿だな」と耳元で囁いた。

この恋愛が本物の愛だとか俺は信じたくもないし思いたくもない。

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