lie
「私を差し置いて勝手にタルト食べたことが許せないの。吐け」



怨みを込めて言う私にトシさんは吐き出すように笑って…



「お前用のケーキがあるよ。」


と言った。



0・2コンマの速さでさっき頬をつつかれていた箱に手をかけて中を見ると…ちゃんとタルトはあった。



「今日は遅くなったから。機嫌がわりいんじゃねーかと思って」



「うん。悪い」



「だろーな」



「今何時だと思う?」



「午前三時。」


「冗談。三時三十五分よ」


「こまけぇなあ」



困ったように笑ったトシさんは残りのタルトを頬張った。


それ私が食べる予定だったんですけど。



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