Twins ─俺の姉─
嘘つ菌と俺
体育館裏。最近、ここに来ることが多過ぎて飽きてきた。
倉庫の窓が少し開いているなぁと思いつつ、視線を目の前の人物に移した。
するとそれに合わせたようにうつむいていた顔を上げて口を開いた。
言われる言葉は…たぶん、分かってる。
「好きなの、…ずっと好きだったの。お、お願い!私と…付き合って下さい。」
そして俺の返事はいつもこれ。
「ごめん。」
ああ、もうこんな思いばかりしたくない。
相手の子だって可哀想だし、俺だって罪悪感溜まるわ面倒臭いわで何の得も無いこの時間が俺は大嫌いだった。
体育館の倉庫に入って、先程見ていた窓を少し乱暴に閉める。そのときの微風に舞った小さな埃が、むわりとした気持ち悪い空気に変える。
だんだんと胃が重たくなって、自然と溜め息が出た。
「やあ、少年。お悩み事かな?」
驚いて振り向くと、長い黒髪を揺らして微笑む少女が居た。
「…!姉貴…。」
双子の姉の咲綺(サキ)だ。俺より少し小さい身長だが、顔は似ている。パーツ一つ一つを良く見れば違うのだが。
「どうしたの優輔(ユウスケ)、元気無いね。」
「そうかな。結構元気だけど。」
力無く下がっていた口角を、さっと上げて笑った。
「また出た。」
姉は眉間に小さなシワを寄せて不服そうに呟いた。
「へ?何が?」
「優輔クンお得意の演技スマイル。」
「演技なんて俺、上手くないし。」
笑って否定する。
内心ビクついていたが、ポーカーフェイスは崩さない。