我が家の妖怪様
「俺の力なんて誰も狙わないよ」
「お主は馬鹿か? お主の中に住まうはこのわしだぞ?」

 だからなんだ?

 聞いた俺が馬鹿だった。講義中、ずっと頭の中で泰葉の武勇伝を聞かされ続けた。
 それと同時に、俺を狙い始めるであろう輩の話し。

 俺達術者と呼ばれる者には、計り知れない力を発動する時がある。その力と術者を守護する者の力が交われば、陰の世界に潜む輩を倒すこと等簡単らしい。
 陰の世界に潜む輩からすれば、俺の力が完全に発動する前に、邪魔物を廃除してしまうのが良いと言うこと。

 これから先、もしかしたらそうやって俺の命を襲う奴が現れるかも知れないと。泰葉達守護者は、その危険から俺達術者を護る為に、身体に住むらしい。

 いかなる場合でも、術者の命を護る義務があるそうな。

 そう聞くと、結構守護者と言うのも大変な役割なんだと思うのだが。だからと言って、誰かれ構わず睨みを利かすのはどうかと思う。

「とにかく、変なやつ以外に睨みを利かすなよ」
「ふん、何も知らんくせに」
「俺の命令は?」
「…絶対じゃ」

 苦虫を噛んだように俺を見て泰葉が言えば、俺は鼻を鳴らし笑った。術者の言うことは絶対だと、俺に教えたのは間違えなく泰葉自身なんだから。
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