<…ひ・み・つ…>
羽田さんが話を切り替えた



「野元くんは、何歳や?みた感じやったら二十歳くらいやけど!」

「二十歳です。羽田さんはおいくつですか?」


「わしは、四十目前や」

「若く見えます!」

僕は思ってもないおべんちゃらを言った。


羽田さんはアハハと笑いながらコーヒーを飲み干した。


「そういや、あのボロアパートは壁が薄いなぁ……隣の声が丸聞こえや」
羽田さんの言葉に同様している自分が怖かった


「僕はあまり気にしてないんで、アハ…そんなに聞こえます?」

何か白々しい気がしたけど僕はそう言うしかなかった

「わしの隣、あぁ〜野元くんとは反対の隣の奴やけど、夜中に女といちゃつく声がなぁ…若いからしゃぁないかぁ〜(笑)」


僕も同じように笑うしかなかった(^^;)



もしかして、僕への確かめの為に探りをいれているのか?


もし聞いていたことがバレたら、僕は消されるのかもしれない。



いや…でも、こんな優しそうな人がなぁ…

「悪かったな…無理やり付き合わせて!」

「いえ…こちらこそ、ごちそうになってしまってすみません!」


僕たちは喫茶店の前で別れた
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