風が吹いたとき
もういない
11月に入ってから、一が学校にこなくなった。


クラス中の女子、学年中の女子が、


「なんで?」


「風邪にしちゃながいべ…」


「NHKに会員登録したとか…」


いろいろ言ってるけど、


風邪でしょ…。


みんな考えすぎ…。
でも先生は、何も言わない。


やっぱり何かあるのかもしれない。



と、一ヶ月がすぎ、12月…。

やはり、一は学校にこない。

朝、学活で先生は…。


「三木くんのお母様がいらしています。」


つらい表情で、入ってきて、


「息子は、、一は、病気だったんです。」


クラス中が静まり返った。

そして


「昨日逝きました…。」


「黙っててごめんなさい。一が言うなって…」


みんな、涙を流し始めた。


でも私はなぜか泣かなかった。


何でだろう。

悲しいはずなのに…。

もういないんだ…。


風が吹いて、振り向いても、



もう一はいない…。


いないんだ…


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