親友が家族になりました。
「美香、おはよう!」
「おはよう!」
ニコニコして、バカみたい。
最近、愛香がうざくて仕方がない。
まあ、このうざさもあと4ヶ月後の卒業式まで。
私は私立の推薦決まってるし、愛香は都立一本みたいだから高校は確実に違う。
だから、この“うざい愛香”も、中学生での思い出になるだろう。
私達は“親友”。
相手の悪口以外はなんでも話した。
これは、小5の頃から変わらない。
愛香の親は小4の時に、私の親は小2の時に離婚した。
愛香は弟と母親に、私は妹と父親に引き取られ、それぞれに愛人がいた。
まあ、どっちもその愛人と対立してたけど。
家庭状況が似てたから、私達はすぐに仲良くなった。
「パパと瑠美ちゃんが別れたのって、軽く私のせいだったじゃん?
だからパパ、今度は隠れて付き合ってたんだよー
ありえなくない?」
「ありえない。」
愛香は元愛人の事を、“瑠美ちゃん”と呼ぶ。
私は表では“トシくん”、裏では“キモロン”。
これはキモいロン毛の略。笑
「でね、明日その新彼女に会いに行くんだってー」
「大変だねー。ママも新しい愛人がいたりして、笑
次こそは殺すわ、笑」
「美香怖い、笑」
「愛香だって、殺しちゃうでしょ?笑」
「まぁねー、笑
じゃぁ、そろそろ帰るね!
パパが新しい服、買ってくれるんだー」
「また来週、じゃーね」
軽く手を振って愛香は教室を出ていった。
教室に残された私は、教室を色づける赤い夕日をしばらく眺めていた。
新しい愛人…か。
本当にいたらどうしよう。
……………ま、いっか。
私は、暗くなった教室をあとにした。