僕は君のもの
香織~side~
約一年前・・・
私が佐野先輩を意識しだしたのはバスケの県大会のときだった。
優勝するほどの実力を持っているチームだったが、そのほとんどの得点を決め、一番目立っていたのが佐野先輩だった。
「ねぇ、明日香。あの人誰?」
私の隣に居るのは、同じバスケ部の、天野明日香(アマノアスカ)。同じクラスでバスケ部ということから、仲良くなった。
「なんで知らないの。男バスのエース、佐野翔(サノショウ)先輩だよ。そして2年の王子様。」
「王子様?なにそれ!」
そう言うとあきれた顔をして、教えてくれた。
「うちらの学校には、学年ごとに王子様って言われる人物がいるじゃん。うちらの学年は、隣のクラスの、桐谷クン。・・・どうせ桐谷クンのことも知らないんでしょ?」
うっ、確かに知らない。
「やっぱり。ほんとに香織はバスケバカなんだから。ちょっとは男の子に興味持ちなさいよ。」
「・・・はぁい。」
とは言ったものの、正直バスケ以外に興味がなかった。
佐野先輩のことも、『どうしたらあんなにうまくなれるのだろう。』
最初はそういう思いで練習中も目で追った。
私は何よりもバスケを優先したし、とにかく上手くなりたくて夜は社会人のチームにまで行った。
そこに佐野先輩がいたんだ。