僕は君のもの

なんで今日に限って。先生に捕まってしまった。

優等生で通っているので断れない。急いで用事をすまして、柏木の待っている図書館へと急いだ。


ガラー…


「ゴメン柏木。あれ?」


もしかして…


「寝てるのか?」


柏木は腕を枕にして、机にうつ伏せになっていたのだ。

僕は起こさないようにゆっくり近づいて、顔が見える方の隣の席に座った。


じーっと見てると思った。ホントにキレイだよな。


長い睫毛に白い肌。ピンク色の唇。

しばらくながめていたら、クマができてるのに気づいた。

眠れてないのか?

佐野先輩のことを考えて…?


僕はまた無意識に頭を撫でていた。


起きない。


柔らかい頬をさわってみた。


それでも起きない。


さわっていたら止まらなくなって、唇をなぞってみた。


…キスしたい。


これだけさわっても起きないんだから大丈夫だよな…?


ただ触れるだけのキスをした。


途端に僕は自分がしてしまったことに、恥ずかしくなってしまった。


キスなら何人としたかわからない。別に何かを感じたこともない。


だけど柏木とのキスはなんていうか…ドキドキして、こんなものじゃ足りない気がしてくる。


もう一度触れようとしたとき、「んっ…」と唸り、柏木は目を覚ました。



< 63 / 100 >

この作品をシェア

pagetop