僕は君のもの
香織~side~
翔との間に出来た距離を埋めようとするほど、離れていってる気がしてた。会えない分、好きな気持ちだけが溢れていって、正直限界に近かった。
でも桐谷くんと勉強するようになって、その間だけでも気が紛れた。それが唯一の救いだったんだ。
それに、桐谷くんといると、なんだか心が緩む。
最初は、苦手だったが、彼も心を開いてくれたらしく、見たことも無い素な部分を、この短期間で出してくれた。それが、私の桐谷くんに対する苦手をなくしてくれたきっかけだと思う。
少しのことで、喜んだり、照れたり。
そんな桐谷くんだったから、まだ誰にも言ってない、調理師になりたいという夢を話してしまった。