僕は君のもの
想い
遅いな。
いつもなら俺より先に来ている柏木が10分経っても来なかった。
昼休みが終わる5分前に、柏木のクラスに行ってみた。その途中で結衣たちの会話が聞こえてきた。
「まじイイ気味よね。柏木さんのあの顔見た?超ショック受けてたよね。てか結衣もけっこう酷いね。」
「あのくらい平気よ。それに本当のこと言っただけじゃない。隼人と仲良くするからよ。」
まさか。結衣たちが柏木に何かしたのか?いつもは冷静な俺だったが、その会話を聞いたらいてもたってもいられなくなり、結衣を追いかけ、腕を掴んだ。
「結衣。今の会話どういうこと?」
あまりの俺の声の低さと表情に、結衣の顔は少し青ざめていた。
「なっ、何もして無いわよ。」
「嘘つかないで。本当のこと言って。」
強く掴んだ俺の手に顔を歪めながら、言った。
「隼人がいけないのよ。私の気持ち知ってるくせに、柏木さんにばっかり優しくしてっ・・・」
「何を言ったの?」
「私は別に、本当のこといっただけよ。佐野先輩に遊ばれてたって。」
なんてことだ。柏木が今、一番傷つく言葉を。しかも俺のせいで。
感情が抑えられなくなった俺は、結衣にこう告げた。
「柏木を傷つけたら許さない。女でも容赦しないから。」