僕は君のもの

「柏木・・・?」


返事がない。でも人の気配がある。そう思い奥まですすんで行くと、真ん中当たりに、うずくまっている柏木の姿を見つけた。


「柏木!」


近くで呼んで見ても反応がない。焦った俺は、肩に手をかけ、もう一度柏木を呼んだ。


「おいっ!柏木!」


うつむいている柏木の顔を覗き込んで、ハッとした。瞳に色がなくなった感じで、傷ついて苦しそうな顔をしている。

いたたまれなくなった俺は、柏木を強く抱きしめた。


「柏木っ・・・ごめん。俺のせいで・・・ごめん、ごめん・・。」


ただ謝ることしか出来なかった。それでも返事をしない柏木を一度離して、顔を見ると、泣きそうな・・・でも必死で我慢している。


「泣けよ、柏木。」


「・・・・ダ。」


小さい声でつぶやいたかと思うと、突然叫び出した。


「ヤダ!・・ヤダ!泣いたら認めたことになっちゃう!!翔がいなくちゃ意味が無いのに・・・こんなに好きなのにどうすればいいの?どうして私じゃダメなの?」


肩で息をするくらい、激しく叫んだ。


痛いくらい柏木の気持ちが伝わってきて、なぜだか俺の目から涙が一筋流れた。

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