僕は君のもの
香織~side~
呆然と教室に座り込んでいた。もう何もかも嫌になった。
すると突然、私の名前を呼ぶ声がした。答える気にもなれず、動くことさえめんどくさくなっていた。
気がついたら誰かの腕の中にいた。・・・桐谷くん?完全に考えることを止めていた私の頭がまた動き出した。
「柏木のこと好きだよ。」
その言葉に救われた。こんな最低なことをした私を好きになってくれる人がいるんだと。
かなりモテる桐谷クンのことだから、冗談かと思った。優しい彼のその場限りの嘘だとも。
でも真剣に話を聞くと、どうやら私の事、本当に好きらしい。
だからといって、桐谷クンの気持ちに答えられるわけが無い。今の私には翔しかいないのだ。叶わないと思っても、翔のことしか考えられない。
それなのに桐谷クンは優しく、私を包んでくれた。