摩訶不思議料理





毎日忙しく、香港・台湾・フィリピンを経由してタイに行ったり来たりの為に、実際問題殆ど現地ではグロッキー状態でアジアを堪能することがなかなか困難であった。



それでも、時間を作っては各国の料理を食べ歩きするのが彼女の楽しみであった。



或る日、タイから日本への帰国の便でFAとして働いていたら、乗客の一人が



『スイマセン。チョット具合が悪いみたいなので、酔い止めを頂けませんか?』



と言ってきた。



彼女は慣れた口調で



『少々お待ち下さい。直ぐにお持ち致しますので!』



と言って、キャビンに戻り薬箱の中から酔い止めを取り出して、トレンチにお水の入ったグラスと共に先程の乗客の所へ行った。




< 13 / 24 >

この作品をシェア

pagetop