摩訶不思議料理
第三章 新婚旅行
======グアム========
『ねぇ貴方、披露宴で言っていた貴方の料理の師匠さんってどんな人だったの?
やっぱり料理の世界は厳しいから毎日怒られてばかりいたんでしょう?』
『いいや!そんな事無いよ!
料理を愛している人で、常に親身になって私の料理に対する疑問に答えてくれたり、一つ一つ真心込めて作る事を教えてくれたよ!
料理には愛が絶対に必要だからね!
怒って教えるのも一つの愛の方法かもしれないが、彼はいつでも穏やかな人だったな。
随分昔の話しに成るけど、15年以上も前の話なんだけど、私がまだ見習いとして入ったばかりの頃、師匠が私に話してくれた事が有るんだ。
小さな女の子がいてね!
その当時インターネットで知り合った子らしいんだが、白血病の病気を抱えていたらしくて落ち込んでいたんだって。
その子に会って、どうしても師匠は料理を食べさせたかったので、ワザワザその子に会いに行き、友人のレストランを借りてご馳走したらしいよ!
そうしたら、彼女は日に日に元気に成って行き、明るくなっていったんだって。
それが師匠のつくる料理なんだ!
愛情注いだ料理を食べると食べた人が元気に成れる!
私も何時か師匠のような料理人に成りたいと思っているんだ。
しかし、その師匠も5年前亡くなってしまったんだ!
皮肉なもんで師匠も白血病になって、何年も苦しんで、ドナーが見つからないうちに去っていったんだよ!
そんな苦しい体になっても、私に出来る限りの料理を教えてくれたんだ。
私は師匠に料理を作り、そして食べて貰ったが、私の料理では師匠を助けられなかった!
残念だったよ!
最後の師匠の言葉が
「プリンセスに料理を食べて貰いなさい!」
なんだけど、良く意味が判らなくてね!
まさか、イギリスの王女様に食べて貰えって言うんだろうか。
そんな事、到底無理だけどね!』