伝えたくて…
(亜依斗 目線)


「俺さぁ…ちょっと前、失恋…したんだよね。」

拓真から
こう告げられた。

「まさかっそんなワケねーじゃん。お前、意外とおもろいし、失恋とか、ありえんわっ」


「確かに、好きで居れば良かったのかもしれないな。でも…でもな?」


「う…うん。」

「相手を傷付けてる自分が…スゲー嫌だった。」

「はぁ…。」

「最後の相手の言葉が『まだ好きなのに』だった。それに対して、俺は何も返してやれなくて…」


知らなかった。

こんな一面が
拓真にあること。




面白くて
優しくて
頭良くて

そんな拓真に…

こんな暗い部分があること。

見抜けなかった。



「なぁ、亜依斗。俺は身を持って感じたんや。そばに居る、大切な人に想いを伝える大切さとか、優しさのホンマの意味とか。お前に…同じ思い、させたくないんや。たのむ。ちゃんと、気持ち、伝えないか?」



俺だって、…

俺だってな?


伝えたいに決まってんじゃん。


「分かった。じゃあ、どうしたらええんやろ?」

「ホンマに?!それやったら…」

拓真の笑顔が戻った。


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