honey blood
ひとりで顔が赤くなって、俯いてしまって。



そんなのお構いなしに手を握って歩き出した紫に、やっぱり振り回されてる気分。



「そろそろ入るか」

「えっ!?あっ…うん…」



心臓もヤバいけど、体全部がヤバい。



コイツはあたしをどうする気なの?



ジュースもチケット代も紫が買ってくれるし…。



頭おかしくなりそうだよ…。



「あっ、キャラメルポップコーン食べたい」

「買ってこい」

「うん」



始まる前に買ったキャラメルポップコーンを抱えて紫の隣に座る。



今からは映画に集中しよう。



「うまっ、甘っ、これうまっ」

「あたしの食うな」

「お前は微妙にコーティングされてる方な。俺、がっつりキャラメルついてるのがいい」

「あたしのだってば」

「ほら、お前は白いの食え」



あたしのキャラメルポップコーンの横取りです。



あんまり甘くない方をあたしの口に突っ込み、自分は甘い方を食べるという。



どこまで甘党なんですか…。



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