honey blood
長い髪が風でなびいてて、どうやらあの影は女っぽい。



障子の奥は廊下になってて、その先が庭。



こんな時間に誰だよ。



少し隙間を開けて覗くと、そこにいたのは見覚えのある顔だった。



「蜜、押入に入ってろ…」

「えっ?なんで…」

「いいから早く!!」

「わ、わかった!!」



携帯を持った蜜が押入に隠れ、敷いてある布団を一組部屋の隅に追いやった。



めんどくせぇのが来たもんだ…。



障子を開けると月を見上げてた目がこちらを向いた。



「紫様~!!お会いできて嬉しいです~!!」

「ストップ!!なにしに来た?」

「なにって…夜這いです!!」

「ふざけんなよガキが…」



飛びつかれそうになったとこを止め、蜜に危険が及ばないように庭へ出た。



コイツは父さんの知り合いの娘、志乃。



まだ14歳で、一目惚れしたとかでたまにこうして押し掛けられる。



「何時だと思ってんだよ」

「心配ですか?志乃、嬉しい~!!心配しなくても将来の旦那様のお宅へお泊まりに来ただけです!!」



はぁ!?



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