honey blood
父さんは泣きそうな顔で蜜にお礼を言い、とっくに帰って来てた母さんは蜜のために豪華なメシを用意した。



俺はまだそこまで動ける気がしなくて。



風呂上がりの蜜が部屋に戻って来た時にはまた寝そうになってた。



ペタンと隣に座り、濡れた髪のまま俺を見下ろしてる。



「紫…」

「ん?」

「死ぬかと思った…」

「悪かったな、迷惑かけて…」

「自分のドキドキ早くなるし紫息してないし…。あたしが血をあげなかったからかと思ってっ…」



顔にポタポタと雫が落ちて来て、起きあがって首にかかるタオルで頭をふいてやった。



ギュッと握られた腕は微かに震えてて、俺を見上げた顔が歪んでいた。



無意識に今ある力で抱きしめた。



「お前のせいじゃねぇから…」

「でもっ…あたしが飲ませてあげてたら紫はあんな思いしなくて済んだのにっ!!」

「蜜はなんも悪くねぇ。泣くなよ…」

「止まんない~…」

「舐めるぞ」

「ヤダぁ~…」



この華奢な背中が愛おしい…。



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