honey blood
4つでギブアップのあたしを余所に、紫は16個目のケーキに手を伸ばした。



「そういえば先生から聞いたんだけど、あんたも仕事してんでしょ?」

「仕事ってほどじゃねぇよ。依頼があって気が向いたら力貸してやる感じだからな」

「だからいつも暇そうにしてるんだ」

「要領がいいって言え」



頭はいいみたいだけど…。



勉強してるようにも見えないんだよね。



「何個目?」

「20」

「気持ち悪~…」

「このザッハトルテうまっ…」



食べ過ぎだよ甘いの…。



本当に体は大丈夫何だろうか…。



あたしをバカ食いバカって言うけどさ、紫だって甘い物は限りなく食べるじゃん…。



「満足した?」

「まだ」

「あんだけ食って食い足りないの!?」

「シメに蜜が残ってるから」



あっ、そうですか…。



外に出たら手をつなぐのが当たり前になった。



始めは動揺しっぱなしだったあたしも、今じゃ当たり前のように手を繋ぐ。



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