honey blood
小さい頃、母さんの仕事が忙しかった。



父さんは父さんでいろんな顔を持ってるから当たり前のように家にいない。



そんな時、そばにいたのは安藤だった。



ほとんど安藤に育てられたようなもんで。



病弱な俺のそばを片時も離れなかった。



俺の力の強さに気づいたのも、特別な体質も、安藤が気づいてくれたから。



だから今ここに存在してるようなもん。



「俺はさ、安藤のこと第二の親だと思ってる」

「それはありがたいお言葉ですね」

「息子の気持ちはわかってもらえねぇの?」

「人間に好意を抱くのは構いません。将来、あるべき場所に収まっていただけるならばの話しですが」



それは蜜は遊びで他のヤツと結婚しろって意味だよな?



安藤、変わってねぇ…。



「選ぶのは蜜であって俺じゃねぇよ。まずそこまで考えてねぇから」

「紫様、クッキーが焼けましたよ」

「食うよ…」



安藤がなにもしないことを祈って…。



遊ぶか…。


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