honey blood
それから頭の中、ぐっちゃぐちゃ。



蜜と二葉と雪丸はそれなりに遊園地を満喫していたけど、俺はもう考えがまとまらなくて上の空だったと思う。



戻って来た別荘でもメシが喉を通らない。



そんな俺に気づいたのは、やっぱり安藤で。



風呂上がりに部屋に安藤がやって来た。



「安藤は父さんの血、飲んだんだよな?」

「えぇ、100年ほど前の話しですけど」

「怖くなかったのか?」

「そうですね~、『このお方のためなら死んでもいい』と思いましたから」

「なんでそう思えた?」



『人柄に惚れたんでしょうね』



そう言った安藤は昔を懐かしむような顔をした。



今の雪丸はそんな気持ちなんだろうか…。



「実際失敗した例は…」

「数え切れないほどあります。その数ほど、お父様の体に消えない模様が増えて行きましたね」

「その意味のタトゥー…」

「この事実を知ってる人は一握りですので、内密にお願いしますね」



父さんは報われなかったヤツらの気持ちを全部背負ってるのか…。



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