honey blood
血を飲み終わった紫はあたしをからかうでもなく、窓辺に座り、ただ月を見上げてた。



やっぱり違うな…。



「紫?なに考えてんの?」

「ん~、別に」

「そういえば夏休み終わるけどあたし、いつ寮に戻ればいい?」

「そうか、ずっといるような気がしてたな」



なんだよ。



なんか恥ずかしいんだけど…。



いるのが当たり前みたいな。



「なぁ蜜…」

「なに?」

「もし俺が死んだら…お前ってどうすんだ?」

「へっ!?なに言ってんの?紫が死ぬわけないじゃん」

「もしもの話し」



目を合わせないでそう言った紫の横顔は今まで見たことがないくらい苦しそうだった。



なにを抱えてるの?



「あ、あのさ…。人に言えないこととかってあると思うんだけど…誰かに言ってスッキリするかもしれない…よ?」

「なんだソレ、慰めてんの?」

「そんなんじゃ!!ない…けど…」



ズルズル引きずられ、いつもの膝枕ポジション。



なにを考えてるのか全くわからない…。



< 161 / 506 >

この作品をシェア

pagetop