honey blood
いい子ぶってあの人に気に入られるなんてしない。



初対面の人を母親とも思えない。



当たり前のような顔でキッチンに立ってんじゃねぇよ。



ベッドに飛び込んでからしばらく、部屋がノックされた。



顔を上げたらドアが開き、立ってたのはあの女。



「コレ…ロールケーキなんだけど食べない?」

「いらない…」

「お話しようと思って来たんだけど…」

「ムリに仲良くする意味あんの?あたし、あんたと一緒に暮らす気なんてないから」

「蜜ちゃん…」



涼しい顔して結局不倫してたわけでしょ?



あたしに悪いとか思わなかったんでしょ?



「あたしもイヤだけどね」

「は?」

「体裁悪いでしょ?前の奥さんの娘追い出して新婚生活なんて」

「体裁のために呼んだわけ?」

「他になんかある?」

「あんた性悪だね」

「あなたもね?」



お父さんって見る目ねぇの。



バカそうだし。



さっさと帰ろう。



「明日帰るから気にしないで」

「それは困るの。一緒に暮らしてもらわなきゃいい母親演じられない」



こんな女と暮らすなんて絶対イヤだ。



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