honey blood
紫の顔は見えない。



だって抱きしめられてるから。



声がいつもよりまじめで、ドキドキが早くなる…。



「お前と一緒にいれんのは…俺が18になるまでだ」

「なに、ソレ…」

「来年、父さんの世代交代で俺がこの国のヴァンパイアをまとめることになる」

「よく意味がわかんない…」



紫はこう言った。



会社に例えるなら、今は父上が社長で、来年紫が社長になる。



重役たちが紫とあたしの仲を反対していて、多数決による会議で決まったことには紫ですら口を出せないと…。



「せめて婚約でもして、世界的に発表しなきゃなんねぇの」

「じゃあ…あたしは不要になるってこと?」

「それを、俺はどうにかするつもりだ」

「どうやって!?ムリなんでしょ!?」

「来年の4月まで、蜜に決めてほしい」

「なにを…」

「ヴァンパイアになって、一生俺と生きるかどうか」

「あたしが決める…?」

「もちろん。だけど俺にはお前が必要だ。それだけは言っとく」



あたしがヴァンパイアに…。



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