honey blood
まさか紫がそんなことを言いだすとは思わず、あたしもビックリした。



「いただ…く?」

「えぇ、どうせ新婚生活にコイツがいてもお邪魔でしょうし。うちで面倒みますので」

「面倒…」

「一切の生活はお気になさらずに」

「ちょ、ちょっと待ちなさいっ!!親権は父である私にあるんだぞ!!」

「その点はご心配には及びません。勝手に戸籍イジってどっかの養子に出しますので」



紫って強引なんだよね。



それは承知してたけどまさかここまでとは…。



やること派手過ぎて何も言えない。



むしろ何でもアリで笑えてくる。



「それでいいな?」

「うん…、いいよ」

「じゃあ、荷物取ってこい。二度と戻んねぇんだから必要なものは全部な?」

「ちょっと待ってて!!」



あたしは部屋に行った。



紫とお父さんがなにかを話してたけど、それは聞かなかった。



だけど、家をでる時のお父さんの顔は冷たかった。



もう、あたしはここには二度と戻らない。



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