honey blood
吹雪に送られて行った理事長の家。



蜜は笑いもせず、怒りもせず。



無表情のままただテーブルの前に座っていた。



「なんか言ってた?」

「いえ…。なんだか雰囲気が…」

「変わってんな…」

「間違ったことをしたなら親代わりとして叱るべきかと思ったのですが心が読めません」

「読めない?」

「彼女の思いを探ろうとすると頭に入ってくるのがノイズのような騒音だけで…」



理事長が力を使ってもわからない蜜の心…。



なにがあったのかわからない…。



とにかく話してみるか…。



「蜜?」



声をかけると一応こっちに目を向けた。



無反応…。



「今までどこにいた?」

「別に紫に関係ないでしょ」

「なんだって…?」

「龍太さん、心配かけてすみませんでした。これからはちゃんと帰ります」



そう言って頭を下げた。



俺に関係ない…。



「どこ行くんだよ!!話はまだ終わってねぇぞ!!」

「離してくれない?」



お前…誰だ?



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