honey blood
蜜もそれが言いたかったんだろう…。



「わかった…」

「後は俺に任せな。ご苦労だったな、紫」

「いや…」

「じゃあ俺は天音に会って来る」



全部のつじつまが合ったのに、俺の気持ちは不完全燃焼。



誰も消えずにすんだのに…。



「吹雪、ちょっと出てくる…」

「お気をつけて」



宛てもなくひたすら歩いた。



蜜と歩いた道…。



初めてデートした映画館…。



最後に向かったのは蜜が養子に来た家。



「紫様…」

「蜜のことでは迷惑かけた…」

「いえ、いちばん辛いのは紫様ですから」

「理事長、これからも蜜を…よろしくお願いします」

「わかってます」



それだけ。



ケジメつけなきゃいけない気がするから…。



俺の想像以上に蜜の頭ん中は改ざんされてる。



どう頑張っても俺の入る隙間がない。



蜜はこのまま天音といる方が幸せなのかもしれないから…。



蜜が幸せになるなら、潔く身を引こうじゃねぇの。



< 274 / 506 >

この作品をシェア

pagetop