honey blood
頭を冷やしてから戻った家で、天音が父さんと話してた。



父さんがなにを言ったのかわからない。



とにかく天音は泣いていた。



そして蜜は客間にポツンとたたずんでいて…。



不安そうで泣きそうな蜜を抱きしめたい衝動…。



「紫…」

「天音のことなら心配しなくていい。これからもそばに…いればいい…」

「紫の記憶…天音が戻してくれて…」

「えっ…?」



滝のように流れ出した涙。



見てられなくて抱きしめた。



「頭が天音を好きだって言うの!!心は紫が好きなのにっ…」

「考えなくていい…」

「ごめんなさいっ…。今までごめんっ…」



謝るのは俺だから。



俺のせいで蜜をこんな風にしてしまったんだ…。



俺が悪いから謝らなくていいのに…。



やっぱり手放したくねぇよ…。



「結論、急いだりしねぇから。辛いかもしんねぇけど、答えはゆっくり見つけりゃいい」

「ヤダヤダ!!紫が好きだ!!そばにいたいっ…」

「ん…」



ガラにもなく俺が泣きそう…。



< 275 / 506 >

この作品をシェア

pagetop