honey blood
蜜を支配すんのは俺でいい…。



お前も俺だけでいい…。



「やっと近くに来たな…」

「紫、紫…紫~…」

「ふたりになりてぇ…。行こう、蜜」



この家はうるさい。



いますぐ誰にも邪魔されないとこに行きたい。



「蜜と出てくる」

「かしこまりました」



家からいちばん近くにあるビジネスホテルに入った。



泣き顔の蜜が俺から離れようとしない。



精神的に弱ってる証拠…。



「いつもの元気ねぇじゃん」

「離れないんだ…。紫が…泣きそうになるから。一緒にいてやる…」

「そりゃあ嬉しいね。天音が好きならそのままでもいいから」

「あたしはイヤ…」

「俺がお前を好きだって事実が変わるわけじゃねぇんだ」



そばにいれなくなるよりずっとマシ。



抱きついてきた蜜とした、久しぶりに両想いのキス…。



甘くて甘くて、このまま溶けてしまう気がした。



「このままお前食ったら…やっぱり甘いのか?」

「わかんない…」

「こんなに誰かを欲しいと思ったのは初めてだ…」

「あたしも…」



待てよ?



天音と蜜って…。



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