honey blood
【紫】



キツい。



お前がたまに天音を目で追う仕草を見るのが。



天音に対して気を使ってるのが。



俺といて、切なそうな顔をするのが…。



偽物の感情だってのは理解してる。



だけど…結構苦しい…。



「蜜、そろそろくれ」

「ん…」

「手じゃねぇよ。こっち」

「痛いんだからね…」

「知ってる」



天音がはずしたピアスのおかげで俺の体はもう平気。



いつでも蜜が血をくれる…。



相変わらず甘い…。



「ごちそうさまでした」

「いえ…」

「報酬」

「アメ…いらない。また変なのだったらヤダ」

「アレは滅多に手に入んねぇの。コレはコンビニで買いました~」

「じゃあ食ってやる」



俺の中ではスゲーカワイくて、やっと戻ってきたのに…。



天音の存在が俺の感情の邪魔をする。



きっと今の俺は蜜に全力で接することができてない。



故意にやってるわけじゃなく、頭が勝手に蜜に遠慮してる感じ。



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