honey blood
行くとは言ったものの、どうせ結果なんてわかりきってる。



催眠なんかじゃどうにもならねぇよ…。



「もしもし?」

「あのさ、今日やっぱり行けなくなったから」

「そっか、わかった。うまく行くようにお祈りしてて~」



祈ってどうにかなるなら寝るヒマも惜しんで祈ってやるよ。



そんな簡単なもんじゃねぇ…。



「紫様、お疲れですね」

「甘いモノが食いてぇ…」

「いつも食べてるじゃないですか、バカみたいに」

「バカは余計…」

「見てて気持ち悪くなるのでやめていただきたい」

「ムリムリ、食わなきゃ死ぬ」



気分が落ちてどうしようもない…。



吹雪は相変わらず蜜との仲をよく思ってないから、吹雪に相談したって結論は目に見えてる。



俺はどうしたらいいのか…。



「どちらへ?」

「散歩」

「お気をつけて」



誰かに話を聞いてもらいたかった。



それは誰でもいい。



「なにやってんだ?」

「散歩行くだけ」

「なら俺も行く」



なぜか帰宅直後の天音と散歩する羽目になった…。



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