honey blood
俺、お前のこと嫌いなんだけど…。



それでも天音の生い立ちを聞いて感じたのは、許す心も必要なんじゃないかってこと。



だから今、一緒に住めてる感じ。



「紫ってあんな甘いのよく飲めんな」

「うめぇだろ」

「俺、甘いの嫌い」

「そ」

「でさぁ、なんか…ものスゲー反省してるんスよね」

「見えねぇけどな」



マジなんだろう。



人間をヴァンパイアに変えたのは、家族が欲しかったから。



蜜にいらぬ記憶を入れたのは、忘れられたくないから。



天音は寂しいヤツ…。



「メシはその償い。下心ねぇから。安心して託して」

「そいつはムリだ。また蜜になんかしやがったら…」

「今度こそ消されそ~。でも、死にたくないよ、俺」



天音と腹割って話したのなんて初めてだった。



だけど蜜のことはさすがに相談できなくて…。



自分で出した結論は間違ってるのかもしれない。



だけど今は俺も蜜もキツいし苦しいから。



本当はイヤだけど、しばらく離れてみようと思う。



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