honey blood
天音に記憶を書き換えてもらわなかったから…。



紫にあきれられたんだ…。



ご飯の時間になっても顔を見せないあたしを心配したマリさんが部屋にやってきた。



泣きすぎて頭が痛い…。



「電気ぐらいつけなさいよ」

「…………」

「泣いてたの…?」

「紫がねっ、もうあたしかんかいらないみたいで…」

「そんなわけないでしょ?あの紫が蜜のこといらないなんて」

「だって距離おくって言われた!!お見合いもするって!!」



あたしなんていらないんだ…。



結局誰からも必要とされない…。



親も好きな人も。



あたしなんか…生まれてこなきゃよかったじゃん…。



「もう…この街にいたくない」

「蜜?」

「紫にも天音にも会いたくない!!あたしは…どこにも居場所なんかないっ…」

「そう思ってるなら好きにしなさい。あたしはアンタが帰る場所、作ってやってたつもりだけどね」

「あっ…」

「甘えてんじゃないって。もっと骨のあるヤツだと思ってた」



あたし…マリさんになんてことを…。



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