honey blood
【紫】



父さんがよく来る料亭の一室。



向かいに座る着物姿の女…。



茶色い髪をアップにしてて、パッチリふたえ。



蜜みたいにうるさそうな感じじゃなく、二葉タイプのおしとやか系。



「紫様のご趣味は…」

「趣味なんかねぇ」

「好きな食べ物とか…」

「ケーキとかチョコとか、甘いの」

「私も好きです、甘いモノ」



蜜みたいに甘い匂いは感じない。



お前の血は甘くないって証拠…。



見合いとか、本気でやめときゃよかった…。



「吹雪さんからお噂はかねがね」

「吹雪が俺の噂?ロクでもねぇ話しだろ」

「そんなことありません!!紫様は若いのにちゃんと将来のことを考えてるって聞きました」

「悪いな、そうでもねぇよ」



父さんは父さん、俺は俺。



そのやり方は変えるつもりはないけど。



将来に対して真面目に向き合ってるかと言ったら疑問だ。



吹雪からは幾度も逃げてる。



しきたりとか、掟とか。



そんなめんどくさい勉強をさせられるから。



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