honey blood
ちょっと待て。



アイツ、ひとりで動けねぇよな…。



便所とかどうする気だ?



いらぬ心配なのかもしれないと思ったものの、俺のせいで蜜があんなことになってるわけで…。



蜜が寝てる客間へ足を運んだ。



夜這いとかじゃねぇよ!?



あんなゴリラ女に欲情はしねぇから。



部屋の前で心に言い訳をし、なぜか緊張…。



「入るぞ…」



静かに開けた襖の奥に、蜜は横になってた。



返事は聞こえずに寝息が聞こえてきて、眠ってることを確認。



もし夜中に目覚めたらどうするんだろうか…。



さっきからトイレの心配ばかりしてる俺、バカじゃね?



人間ってホント、モロい…。



仕方なく襖を閉め、近くの柱に寄りかかった。



さすがに俺も体力が続かず、そのままの状態でいつの間にか寝ていた。



夜中に肌寒くて目が覚めたけど、部屋に戻る気力もなくて。



温もりだけを求めて蜜の眠る布団に潜り込んだのだけはしっかりと覚えていた。



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