honey blood
あたしもヴァンパイアに生まれてたら今より頭がよかったのかな…。



「なにしに行くの?」

「父さんの引退が迫ってるからな。ん~…社長の引き継ぎをする前に重役達と会議」



毎回会社に例えて話してくれる紫には感謝。



わかりやすいけど会議って…。



「どのくらい?」

「早くて1週間、遅くて来年の春」



それっていつまでかかるかわかんないってこと?



携帯もダメだし、外部との連絡は一切遮断するんだとか…。



ネットもできない、声も聞けない…。



「マジで何しに行くの…」

「わかんねぇけどそれなりの勉強させられるらしい」

「勉強…」

「掟とか、一応吹雪から教育されてるけどな」



やっぱりわからない。



紫の住む世界、あたしがいる場所とは違うんだね…。



その日は憂鬱だった。



いつ帰るかわからない紫を待つのもイヤ。



いつまでもあたしの意志が固まらないのもイヤ…。



イヤなことばっかり…。



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