honey blood
あぐらをかく紫の向かいに座った。



心臓が耳にあるみたいに大きな音で聞こえる…。



「俺は今の立場を捨てることはできない」

「う、ん…?」

「先に言っとく。お前がイヤだと言ったら、俺はもう追わない」

「どんな意味…」

「いつまでもダラダラしてねぇで俺に着いてこい」

「イヤ、フランスとかマジムリ」



ハァ~…っとため息をついた紫。



頭抱えたんですけど…。



「そっちに着いてこいじゃねぇよ…」

「ならどこに?」

「俺にだ!!一生、着いてこいって意味だろ!!このバカ人間!!」

「あははっ!!プロポーズみたいなんだけど!!」

「普通に考えてそうだろ…」



へっ…!?



あたし、結婚申し込まれてるの?



「帰ってくるまでに結論を出しといて欲しい」

「紫が…帰るまでに…?」

「父さんいわく、最短で2ヶ月はかかるって」

「1週間って…」

「最低、そのくらいって意味で。実質2ヶ月でも早いほうだって」



究極の決断を迫られたのに、残り数日であたしは紫と離れてしまうらしい…。



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