honey blood
なに刃物持ち出してんだよ。



「カッターじゃ死ねねぇ」

「死のうと思えば死ねる」

「お前、マジバカだろ。させるわけねぇじゃん」

「あっ…」



奪い取ったカッターをゴミ箱に投げ捨てた。



俺はね、お前と生きていきたいんだよ。



反対されても、結婚できなくても。



「頼むからバカなことしねぇでくれ…」

「だって紫が他の人と結婚したら!?あたし、そんな人生イヤだもん!!」

「オイ…」

「あたしには選択権ないの!?紫ばっかり決めて!!あたしの意志は!?紫が思ってるより…紫のことすっごく好きだもんっ…」

「ちょっと…マジ勘弁してよ…」



ボロボロと涙が落ちる。



宥めるように抱きしめてみるけど、蜜の腕は俺に回ってくることはなくて。



胸が苦しくなる…。



お前の気持ちはわかったよ。



「愛人とかイヤだから!!」

「ん」

「あたしだけこんなに好きなの?」

「違う、俺もちゃんと好き…」

「じゃああたしをヴァンパイアにしてよ…」



返事はやっぱりできなかった。



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